「さーーーー、今日は特別おやつだぜ!」
テーブルに並べられたお菓子……青い葉っぱに包まれたお餅に、一同の視線が集中する。
「これはなんだ? オヤジ……」
慎重につついてから、餅を掴んでリュームが聞くと、ライは胸をはって答えた。
「今日は子供の日! かしわ餅は子供の日の定番おやつなんだ」
「子供の日……? そんなもの、聞いたことありませんわ。それに、私は子供ではありませんから」
「後でねーちゃん達にも持っていくから、ンなこと気にせず食べろって。甘いぜ?」
「そういうことでしたら、わっ、わかりましたわ」
ほっとした様子のリビエルにリシェルがにやにや突っこむ。
「良かったわね〜〜?」
「せっかく用意していただいたんですもの、食べるのが礼儀ですわ」
そんな賑やかな女子二人の傍で、ルシアンは一個かしわ餅を手にとる。
「たしか、ライさんのお父さんがそう言ってたんだよね?」
「ん……まぁ、そうなんだけど。かしわ餅は美味しいから皆にも食べてほしいだろ!?」
「はーい、わかったわかった」
リシェルは苦笑しつつライを宥める。父親が話題に出ると感情的になるのは今も変わりない。そこは、大人顔負けの働きっぷりでしっかりした幼馴染も同じ子供なんだ、と実感するところ。
「……なぁ、オヤジ!」
「なんだよリューム?」
ライがテーブルに運び終わると、リュームが片手に柏餅を持った状態で構えていた。
「ホラ、オヤジが作ったのだけど食えよ」
「……?」
「いいから食えって!」
「な、なんだー?」
特に逆らう理由もないので口に差し出された餅をライは一口で頬張った。柔らかさ、良し。あんこの甘さも適度だ。これなら合格点だとライは満足と共に飲み込む。
「よし、食ったな!?」
「だからなんなんだよリューム……ったく」
リュームは答えず次々減っていく柏餅を確保すべく席に戻った。


「リューム、ライに気遣ったんだな……」
様子を見ていたアルバに、ルシアンが「どうしたの?」と聞く。
「ライもまだ子供なんだって……一番世話になってるから、リュームはそう言いたかったんだろうな」
「……そっか。僕も甘えてばかりいられないな」
「おいらも」
ルシアンに、アルバも頷く。
(……ガゼルたちもあんな風に頑張ってきたんだろうな)
そう思いながら、ライのお手製柏餅を食べる。


『大丈夫だ、おまえらは何にも心配しなくていい!』
『わたし達が、何とかするからね?』
そう言っていた彼らも子供だったことに気づいたこと。これが、成長なのだろうか……。
ライが作るものはどれも懐かしい味がする。アルバは目元が滲みそうになるのを慌てて拭った。






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